「やすまれませんか?」
方言や地元言葉には、その人たちの人柄が表れている。
「やすまれませんか?」
は祖母が使っていた言葉だ。
祖母は、滑川市の小さな商店街で下駄屋をしていた。
その頃は、小さな専門店が並び、
通る人はみんなお客さんだったのだろう。
店に顔を出す人に、
「いらっしゃいませ」
の意味を込めて、
「やすまれませんか?」
と、声をかけていたのだと思う。
店をたたみ、わたしたちと暮らすようになってからも、
誰かが尋ねてくると「やすまれませんか!」
と、つい言ってしまっていた。
でも、通り行く人たちに、
「やすまれませんか?」
と、声をかけあう風景、
店先での他愛もない会話や笑顔。
今ではほとんど見られない。
時代とともに、失われていく言葉がある。
そこに暮らす人々の想いが込められた地元に残る言葉や、
常に自分の人生ととともにあった言葉。
それはかげがえのない宝物だと思う。