「言い訳」の言い訳

この一瞬にかけて生きる。

でも、それは未来を見ないことではない。

この一瞬、一瞬が自分が望む未来に繋がっている、

そう信じて生きていくことである。

「今はさきのことを考えない」

これを時には逃げ言葉にする。

先のことは考えないのではなく、

本当は考えたくない。

考えるのが怖いのである。

10年前、

遠距離恋愛をしていた。

わたしはずっと刹那的に生きていた。

ある朝、彼の視線に気がついて、

目覚めたときがあった。

彼は、ベッドに座ってタバコを吸いながら、

ずっとわたしの寝顔を見つめていた。

このまま時間が止まればいい。

わたしは半ば本気でそう思った。

あと数時間もすれば、また、別々になる。

次会えるのは、また数ヶ月先だ。

それなのに、先のこと考えるなんてことなど出来なかった。

あの朝、

彼はどんな想いでわたしを見ていたのか、

先のことを想っていたのだろうか?

どんなことがあっても、

面倒なことばかり起こしていても

「なるようにしかならない」

よく言っていたあの人の口癖。

開き直りとも受け取れたけど、

どんな明日も受け入れる。

多分、そういう意味だったのだろう。

彼を失うことを恐れていたわたしは、

その「言い訳」の言い訳として、

「今は先のことは考えない」

自分に言い聞かせていたのだった。