守れない約束

約束とは守るものである

自分との約束だろうが、他人との約束だろうが、

結果的にはどうであれ、

「守る」という前提で結ぶのが約束である。

でも、守れないとわかっていても結ぶ約束がある。

その約束ほど、切なく哀しいものはない。

それは決して自分の為の嘘ではなく、

その人を想っての嘘なのだから。

10年前、遠距離恋愛をしていたころ、

彼は守れない約束ばかりしていた。

わたしが体を壊したとき、

もう心配はかけさせないと言った。

いつかは一緒に暮らせる?

と聞いたわたしに、

ああ、と答えた。

わたしが望むものがわかっていても、

自分には叶えてあげることができないとわかっているとき、

あるいはわたしのために、無理を言ってくれたとき。

心の中では「守れないのなら約束なんてしないでよ」

そう叫んでいた。

そして、わたしが彼に出来ない約束をさせているのだと、哀しく想った。

守れない約束ならしないほうがいい。

今も心のどこかでそう思っている。

それは自分が傷つきたくないためなのか、

誰かを傷つけたくないためなのか、

今のわたしには、まだわからない。