母の畑
我が家の庭には、
小さな菜園がある。
父が生前、
何度か使ったことがあったが、
父が他界してからは、
母が小さく使っていた。
数年前から、
管理が大変だと言って、
使わなくなっていたが、
何故か今年はまたいろいろ植えたようだった。
毎朝、大変だと言いながらも水やりや除草を続けていた。
その母の畑が、先日一瞬にして枯れてしまった。
原因は、裏の宅地造成で蒔かれた除草剤らしい。
放置されていた宅地に雑草が伸びてきたので、
建築会社が一斉に散布していったのだ。
母は珍しく憤っていた。
そして、その除草剤の効果は、
樹木まで達していたらしい。
それで、その建築会社に抗議の電話をしたと言っていた。
同じような苦情が何件もあったのか、相手は平謝りだったらしい。
気が済んだのか、どうなのか、
母はもう一度苗木を買おうかどうしようか、
迷っている。
決して贅沢な暮らしはしていない。
それでも小さな幸せを育てる暮らしもある。
その母の想いを、大切に育てていきたい。