電車で出会える物語(ストーリー)

電車に乗るのは嫌いじゃない。

いろいろな人が乗ってくる。

それを見ているのも楽しい。

先日、新幹線の中で出会った2人も印象的だった。

親子?姉妹?友人?

年齢があまりわからない女性だった。

わたしの隣のシートだった。

一人は旅慣れているようで、

もう1人は、全て任せているようだった。

旅慣れている方の女性は、

すぐにビールを取り出した。

一口飲もうとした瞬間、

車両が揺れた。

「あ、」

軽く溢れたようだ。

彼女はタオルでさっと胸元を拭き取った。

となりの女性はもテーブルを拭こうとしたとき、

「いいから」

彼女が遮った。

そして、

「今、世話を焼こうとしなかった?」

少し咎めるような口調で言った。

「焼かないでって言ったよね」

「うん、ごめん」

「それが旅のルールだからね」

「うん、そうだったね」

その人の言い方だったのか、

答えた彼女の小さな声だったのか、

その会話が妙に耳に残った。

言葉には、絶対的な強さがある。

それが正論だと、反論は許されない。

でも、その強さと正当性は、時によっては、

傲慢な征服者のものになるのだ。

その後も、

彼女の世話焼きともとれる心配りは続いていたが、

諦めたのか、それについては何も言わなかった。

そのうち2人は目的地のガイドブックを見ながら計画を立てていた。

やはり、一方が圧倒的な主導権を持っていた。

そのうち、ビールが回ってきたのか、彼女はうとうと始めた。

気がつくと、2人とも眠っていた。

肩を貸しあって眠っている2人を見ると、

案外これはこれでうまくやっているのかもしれない、

そう思えた。

電車の中では、いろいろなストーリーと出会える。

だから、

電車に乗るのは好きだ。