恋人
いつも、楽しそうな瞳でわたしを見ていた。
海を見てははしゃぎ、
珍しい物を見ては驚き、
どんな話にも、
屈託なく笑う私を、
楽しそうな瞳で見ていた人。
いつも、哀しい瞳で私を見ていた、
街を一緒に歩いていても、
クリスマスの街飾りにも、
ショーウインドに並んだ、
バレンタインのギフトセットにも、
気が付かないフリをしていた私を、
哀しい瞳で見ていた人。
いつも、険しい瞳で私を見ていた、
私が会いに来るたび、
どこかへ行こうと誘うたび、
無理をするなと言いながら、
それでも、飛び込んでくる私を、
険しい瞳で見ていた人。
いつも懐かしい瞳で私を見ていた、
私の話に耳を傾けながら、
自分の故郷について語りながら、
そして、休暇が終わった日の朝、
「仕事に行ってくるわ!」と出ていく時に、
部屋の扉を閉めるときに、
懐かしい瞳で振り返って私を見た人。
今、あなたの瞳は何を見ていますか?