黄金色の風が吹く街で

いつも見ている、当たり前の風景。

それが当たり前過ぎて、

わたし達は見ていないのかもしれない。

子どもの頃から、感じている風。

それが当たり前過ぎて、

わたし達は感じていないのかもしれない。

わたしの家の周りには、

まだ、多くの田圃がある。

田植えの頃には、

稲が伸びてくると、辺り一面に、

緑色の草原を作り出す。

初夏の風が吹き抜けるになると、

その通り道を見ることが出来る。

そして、その草原も、

秋になると一変。

黄金色に染まる。

わたし達は、辺り前にそれを見てきた。

故郷を離れた友人が言っていた。

今の街には田圃がない、と

時折、懐かしくなる、と

でも、それを言われるまで、

わたしは気付きもしなかった。

いつから、わたしは風景を見なくなったのだろう。

いつからわたし達は、

下ばかり見るようになったのだろう。

バスに乗っていても、

電車に乗っていても、

みんな、下ばかり見ている。

手元のスマホばかり見ているのだ。

端末の小さな画面の中の世界より、

目の前に広がる世界の方が、

どれだけ広いだろう。

SNSの世界に飛び交う情報より、

目の前にあるモノの方が、

どれだけ確かなものだろう。

わたしは、

黄金色風が吹く街に住んでいる。

それを忘れないでいたい。