絵心が欲しい

絵心が欲しい

子どもの頃から、苦手なものはいくつかある。

スポーツ、家事、そして美術だ。

幼い頃から本ばかり読んでいるわたしを見兼ねて、

母は、いろいろ習い事をさせた。

ピアノはもちろん、

書道、そろばん、公文、英会話、

そして絵画教室にも通っていた。

もちろん、どれも全うしていない。

特に絵画教室は悪夢だった。

薄暗い部屋に、絵具とカビの匂い、

そのうえに、鬼のような男の先生ときたら、

恐怖でしかない。

(結構有名な画家さんだったらしい)

当然、何度も脱走した。

やがて、その先生も引っ越し、

絵画教室も閉鎖となり、

心底、ほっとした。

でも、少し勿体なかったと思うこともある。

もう少し絵を上手く描けたら、

旅行も楽しめるかもしれない。

また、描くことが楽しめたら、

表現方法も、もっと増えるに違いない。

自分の初版本の挿し絵も描けたかもしれない。

自分に絵心があればいいな、と

しみじみ思う。