失われたもの・見つけ出すもの
新型コロナウイルスは、
わたしたちから多くのものを奪った。
多くの命が奪われた。
仕事を失った人たちもいる。
時間も失った。
また、思い出を奪われた人たちもいる。
ほとんどのイベント、行事が中止となった。
その中には、「今」しかないものもある。
代表的なものが、甲子園だと思う。
高校球児たちは、その日を夢見て、
毎日走り、毎日闘ってきた。
3年生にとっては、忘れられない夏となるはずだった。
コロナの風は、彼らの夢を吹き飛ばした。
テレビのインタビューに答えていた
「このメンバーで野球が出来るのは今年だけだと思います。」
涙を見せずに語った言葉が、かえって切なく響いた。
夢が消えたとき、
人はどうやって立ち直るのだろう。
人は、いつになると新しい夢を見ることができるのだろう。
そのために、人には何が必要なのだろう。
そして、わたしたちが今できることは何だろう。
「今は、仕方がない」とか、
「今はこういうときだから」とか、
「みんなで乗り越えよう」とか、
そんなききわけのいい言葉では、彼らには届かない、
奪われた者にしか、痛みは分からない、
でも、失われたもの以上の何かを、
これからの人生の中で見つけてほしいと思う。