雪国に生まれて

この冬一番の寒波到来。

それを予想するニュースが流れていた。

でも、それほど関心はなかった。
いつもよりは多少寒いだろう、

きっと誰もがそれくらいの気持ちでいたはずだ。

だから、その日の朝、

町中が白く覆われていたとき、

そして、今なお、雪が降り続いていたとき、

認識の甘さを感じたに違いない。

夜遅くから降り始めた雪は、

瞬く間に街全体を、白く覆い尽くした。

そして北陸は雪に閉ざされてしまった。

ニュースでは36年ぶりと、報道していた。

確かに、記憶の中に雪の風景がある。

目が眩むほどの眩しさも、

さらさらとこぼれ落ちてくる粉雪も、

新雪のコバルトブルーに近い白さも、

そして、ゾクっとする冷たさも、

全部感覚が覚えている。

やはり北陸は雪国なのだ。

2日目にしてようやく青空が見えた。

スコップを持って外に出てみると、

あちこちで雪かきをしている人たちの姿が見えた。

リュックを担いで歩いている人たちもいた。

雪の反射が眩しかったのだろうか、
誰もが笑顔に見えた。

降ったね、積もったね、大雪だね、

と、楽しそうに話していた。

母に外の(町内の)様子を見てきてと頼まれ、

わたしもリュック隊に加わることにした。

2階に届きそうなほど高く積み上げられた雪山の上を、

ピンクのヤッケを着た女の子がはしゃぎ回っていた。

スタックした車を一生懸命掘り出している人がいた。

自前のショベルカーで雪を掘り出している人もいた。

どこか楽しげに見えるのも、

誰もが懐かしさを感じているのかもしれない。

そうも思える。

スーパーの入り口から、若い男性が出てきた。

缶ビールの箱を抱えていた。

この雪の中をわざわざビールを買いに?

ああ、そうか。

除雪したあとの一杯のためなんだね。

これも雪国の楽しみ方かもしれない。