見たいものだけ見る目、聞きたいことだけを聞く耳

わたしたち人間ってなんて自分勝手な生き物だろうと、
ときどき思う。
だって、その他の生き物と同じように、
目と耳を与えられているのに、
時々、
聞きたいことだけを聞いて、
見たいものだけしか見ない、
自分勝手な都合にして、

見覚えがありません。
聞き覚えがありません。

なんて、平気で言ったりする。

自分で耳を塞いでいるのに、
自分で目を覆っているのに、

何故、そんなに傲慢になれるのだろう。

他の生き物たちは、
どんな音にも耳をすます。
どんなに遠くのものにも目を凝らす。

誰よりも早く気づかないと、
誰よりも早く見つけないと、
逃げ伸びれないからだ。

生きるために、それらが不可欠だからだ。

ああ、そうか、
聞きたいことだけを聞く耳、
見たいものだけを見る目は、

わたしたち人間が、
生き延びるために与えられた能力かもしれない。

あまりにも多くの声を聞いたら、
聞きたくない音まで聞こえてしまったら、
わたしたちの心は耐えられないのかもしれない。

あまりにもたくさんの物を見てしまったら、
あまりにもたくさんの物が見えてしまったら、
わたしたちは生きていけなくなるのかもしれない。

そうだとしたら、人はなんて複雑でか弱い生き物だろう。
傲慢こそが、自分を守る術なのだから。