白駒妃登美さん出版記念講演会「ちよにやちよに」込められた想いとは。
君が代は、千代に八千代に
さざれ石のいわおとなりて
苔のむすまで。
これは、日本人なら誰でも知っている日本の国歌です。
わたしたちは、学生のころからは、事あるごとに、この歌を歌わされてきました。
そして、2021年夏、コロナ禍で開催された東京オリンピック、
何度も、この歌を聴きました。
でも、この歌に込められた、本当の意味を知っていたでしょうか?
「君が代は」と、誰もが口ずさむこの歌詞に込められた想いを、
考えてみたことはあったでしょうか?
その歌に込められている想いを、わたしたちに伝え届けてくれる絵本が、令和3年に刊行されました。
それが、「ちよにやちよに〜愛のうた きみがよの旅」です。
朝活@富山ではその著者である白駒妃登美さんをお招きして、
講演会を午前と午後に開催。
多くの方が、白駒さんの、この本と「君が代」に寄せる想いに
耳を傾けました。
午前の部は、富山市にある「着物ブティックあおき」さんです。
日本人の心の想いを聴くには、これ以上の場所はないでしょう。
そして、午後の部は「高志の国 文学館」での開催です。
実はこの「高志の国 文学館」の館長を務めておられます、国文学者の中西進先生の支援もあって、この本が誕生したそうです。
「ちよにやちよに」のお話を聴くのにも、これ以上の場所はないでしょう。
そして、この白駒さん、朝活@富山を含めて富山で講演されるのは、
初めてではありません。
特に、朝活@富山での開催は、今回で5回目になるそうです。
白駒さん自身も富山を大変愛してくださって(特に万葉の高岡でしょうか)
今回もスケジュールを調整し、来てくださいました。
そして、参加者の皆さんも素晴らしい時間を共有出来たと思います。
さて、今回のお話は、その「ちよにやちよに」についてのお話です。
君が代は、今でこそ日本の国家、そして天皇を礼賛する歌として思われてきましたが、
もともとは究極の愛の歌として歌われていたそうです。
平安時代に編纂された古今和歌集に「きみがよは」ではなく「わがきみは」ではじまる歌として載っていました。
しかも、作者は不明の読みびと知らず。
当時、女性が愛する男性のことを「わがきみ」と呼んだそうです。
そして「よ」とは「代」、時代、生命を表します。
だから、歌の意味は
「大切な貴方の生命が、千年も八千年も、小さな石が大きな岩に育つまで、
そしてそこに苔が生えてくるまで(つまりそれだけ永い間)
幸せでありますように。」
と大切な人の長寿と幸せを祈る愛の歌だったのです。
古今和歌集からおよそ100年後、みんなが楽しく朗詠できる名歌を
編集した「和漢朗詠集」が編纂されたとき、「わがきみは」から「
君が代」と手が加えられ、今の歌詞になったそうです。
そして、それによりこの歌は、誰か特定の人だけではなく、全ての
人にとって、大切な人を想う歌となりました。
わたしたちの国、日の本は、太陽が命の源である国です。
そして共通の想いを見つけ、和を尊んできました。
それは、太陽のように暖かくて丸くて、明るい生き方です。
これは、日本に生まれたからこその感覚なのです。
日本という国を照らす太陽は、暖かくて丸くて明るいものなのです。
それは、千年も、二千年も続く昔から、変わってはいません。
そして、この平和な時代が、千年も八千年も続きますように、
小さな石が、年月をかけて大きな岩となるまで、
その岩の上に、さらに苔が生えてくるまで、
ずっと、ずっと大切な人が幸せでありますように、
そういう祈りが込められた愛の歌、それが私たちの国歌なのです。
でも、もしかしたら、その想いは、私たちだけではなく。
この地球上で暮らす、生きとし生けるもの全ての祈りかもしれませんね。
この本を通して、白駒妃登美さんが伝えたかった想い、
そして、白駒さんが富山と万葉の歌人に寄せる想い、
そして、本や講演会を通してご縁を繋いだ全ての方への想いが
たっぷりと詰まった講演会でした。
白駒妃登美さん、参加者のみなさま、ありがとうございました。