吹雪の中のサンドイッチマン

雪の中に、プラカードを立てて座っている人をみた。

プラカードには、新築マンションの案内が書いてあった。

サンドイッチマン。

その呼び名を思い出す。

サンドイッチマンは、1820年代にニューヨークに出現

したのが最初らしい。

声を発さずに人目につく服装をなどをして立ち、

街頭宣伝する人たちだ。

そう言えば、幼い頃、家族で東京へ遊びに行ったとき、

繁華街に、プラカードを持った人がたくさんいた記憶がある。

ただ、その人たちは声を出していた。

今にして思えばサンドイッチマンではなくて、

呼び込みだったのかもしれないけど。

父は、あれがあの人たちの仕事だよ、と言っていた。

そのころ、まだ日本は貧しかったのだろう。

大変だけど、仕事があるだけ、マシなんだ。

父はそうも言っていた。

吹雪の中のサンドイッチマン、

学生のバイトだろうか。

黒いダウンで寒そうに身を屈めて、スマホを見ていた。

派手な衣装もパフォーマンスもない。

でも、声を上げる必要もない。

だって、今日は白銀の世界。

君の姿は誰よりも目を惹く。

そして君の持っている看板は、

通り過ぎるバスの窓からもはっきり見えた。

君は充分、その役目を果たしたよ。

だから、おつかれさま。

今晩は部屋で、しっかり暖まってね。

自分自身を充分労ってあげてね。