「暖かくなってくると、地中に眠っていた蟲たちが 騒ぎ始めるよ。人の心に巣喰う蟲たちも騒ぎ始めるよ。 だから、ざわざわするんだよ。」

毎年、春が近づいてくると、

何故か心がザワザワしてくる。

ずっと職業病かなって思っていた。

春は年度の変わり目、

色々雑事が増えるので、それでストレスが溜まるのだろう、

確かに、それも原因の1つだったとは思う。

職を離れてからの数年は、以前ほどは感じなくなっていたから。

でも、今年の気持ちのざわめきは、

何かが違っている。

心が、気持ちが、いつも何かを感じ取っているかのようだ。

例えば、突然なんで今ごろ思い出すのだろうっていう出来事、

そのときの感情までが蘇ってきて、イヤな汗が出たりもする。

ここ数日、そんな日が続いている。

この感覚は、何なのだろうと考えたとき、

ふとある言葉が浮かんだ。

「暖かくなってくると、地中に眠っていた蟲たちが

騒ぎ始めるよ。人の心に巣喰う蟲たちも騒ぎ始めるよ。

だから、ざわざわするんだよ。」

何かのセリフだったのか、本に書かれた1節だったのか、

記憶にはない。

啓蟄にはまだ少し早いけど、

でも、このざわつきが、わたしの心の中に巣食っている蟲たちだったら、

鎮めるよりも解き放ったほうがいいのかも、

そう思いついた。

それで、目を瞑り、呼吸を整え、記憶のイメージの流れるままに、

ありとあらゆる蟲たちの這いずり回るままにしておきました。

もちろん不快感しかありません。

泣きたくなったらり、穴があったら入りたくなったり、

後悔したり、申し訳ない気持ちでいっぱいになったり、

それでも、少しは出ていってくれたのでしょう。

少し、心のざわめきも収まってきたように感じます。

本当は、そのまま全部出ていって欲しかったのですが、

そう簡単にはいきませんね。

まだ、かなりの蟲たちが残っています。

でも、一つだけわかったこともあります。

嫌な感情や気持ちを無理に押し込める必要はない

人の脳は、心を守るように出来ている。

不必要な感情の記憶は、そのときが来るまでちゃんと隠しておいてくれる。

だから思い出し時が解放時、

もう、手放してもいいよという脳からのサインなのだということ。

だって、今日、わたしの心はいつもよりも静かです。

出ていった蟲たちは、二度とわたしの中では騒がないでしょう。

残った蟲たちも、今日は静かにしているよう。

きっと、またその時がくるまで、眠っているに違いありません。